2024年のゴールデンウィークは撮影旅行としては初となる四国に行くこととなった。
撮影旅行としては初という言い回しではあるが、四国へは学生時代の修学旅行で一度行った事がある。
その時はバスに乗せられ、恐らく完成してまだ年月も浅い瀬戸大橋を渡り、確か鳴門の渦潮を見学しただろうか。
とにかく全く記憶が蘇らないほど、その旅行は印象の薄いものだった。
そんな経験もあって、四国には改めて行かなくてはと思っていたのである。
オーシャン東九フェリーで有明から出発
フェリー旅の車両が乗船待ちをしている有明港の様子。
四国へはオーシャン東九フェリーの 東京〜徳島航路 を利用する。
陸路を自走するよりフェリーを選んだのは、やはりゴールデンウィーク渋滞を確実に避けたいからである。
そしてなによりも、フェリー旅の楽しさをまた味わいたいという気持ちが強かった。
19時に有明港を出港する便なのでゆっくりでよかったのだが、久しぶりの長期旅行が楽しみすぎて早く着きすぎてしまった。
徳島港へ到着する手前で同型船の「びざん」と行き合い
オーシャン東九フェリーは同型船4隻で運行しており、東京と徳島を結んでいる唯一の路線である。
隔離された船上では日常を忘れて過ごそうと思ってたものの、デッキに出れば電波もそこそこ掴めてしまう。
結局、日中はほぼほぼネットを見ながら過ごしてしまったのだった。
四国はあいにくの雨、そして四国自動車博物館へ
高知県香南市にある四国自動車博物館
四国上陸の初日はあいにくの雨、残念ながら今回の旅は天候にはあまり恵まれなかった。
そこで、念の為考えておいた 雨の場合プラン の中で筆頭に上がっていた「四国自動車博物館」に行くことにした。
この博物館の運営・管理は「ネッツトヨタ南国株式会社」が行っており、展示内容も車両の提供や貸与などで不定期に入れ替わるとのことだ。
いやしかし、このあと見る車両からは博物館の運営が地元のトヨタディーラーとはなかなか想像できない。
世界を沸かせた車たちが静かに佇む館内
フォーミュラカーを横目に受付を済ませ、重厚な自動ドアをくぐる。
するとそこには息を呑むほどに美しいコレクションが待つ空間が広がっている。
温度や湿度が心地よい空間は光源も抑え気味となっており、車両のために完璧な保管環境が整えられていることが伺える。
DeLorean DMC-12(BTTF TYPE-1)
入ってすぐ横にはバック・トゥ・ザ・フューチャー仕様のデロリアン(DMC-12)が展示されていた。
自分もバック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズが大好きで今でも見返したりするので、突然のデロリアンのお出迎えには興奮を隠しきれなかった。
タイムサーキットの時間はマーティが最初にタイムスリップした設定だ
車両はシリーズ1作目に登場した車両をモチーフに制作されたもので、内装の次元転移装置やタイムサーキットまで忠実に再現されている。
燃料は泣く子も黙るプルトニウム、ドクが調達するにあたって起こしたトラブルが物語の始まりとなった。
「1.21ジゴワット」という響きに当時はよく分からないが凄いエネルギー量だ!と思ったものだ。
SHELBY-AC COBRA427
自分に莫大な資産があったとしたら、所有してみたい車の1台である「コブラ」。
今まで実物を見たことはなかったのだが、ようやく見ることができて感無量である。
日本には数台存在しているのみということなので、この先の人生でまた出会える確率はとても低いだろう。
そう思うとかなりの時間をコブラの前で費やしてしまったのであった。
不定期で入れ替わる展示、今はアルファ・ロメオが多く展示されている
このそうそうたる名車の数々。
決して広い場所では無いのだが、夢中になって見学し続けてしまった。
これが密度というやつなのか、非常に情報量の多い空間である。
ALFA ROMEO GTA1300 Junior Gr.5 MONZEGLIO
アルファ・ロメオ GTA1300 Junior Gr.5 ”MONZEGLIO”は自分が生まれる前にツーリングカーレースでチャンピオンに輝いたマシンである。
デザインが秀逸なのか、纏うオーラがそう見せるのか、非常に美しい車両だ。
展示車両は入れ替わりするようだが、今現在はアルファ・ロメオの名車が非常に多いのでファン垂涎の場所だろう。
TOYOTA 2000GT & Toyota Sports 800
もちろん国産の名車も展示されていて、2000GTやヨタハチがしっかりあるあたり、さすが博物館の運営母体がネッツトヨタ南国なだけはあるなと感心する。
トヨタ以外にもスバル360やホンダS500、プリンススカイラインも展示されていて国産車も抜かりはない。
さらに展示スペースの1/4はバイクになっているので、こちらも好きな方にはたまらない名車が揃っているのだろう。
モネが生涯を費やした庭を再現、北川村「モネの庭」マルモッタン
人気エリアの「水の庭」はモネの描いた風景そのもの
雨がぱらつく中、車を走らせ北川村にある「モネの庭」マルモッタンへやってきた。
ここは、モネがその人生の殆どを過ごすほどに愛したフランス・ジヴェルニーの庭をモデルに創られた庭園で、それまで門外不出であった〈モネの庭〉の名称を冠するほどの場所である。
あいにくの雨で予定が全部ひっくり返ってしまったが、それならと気になっていた「モネの庭」の下見をすることに。
やはりこの時はちょうど花の合間で薔薇には早くて藤には遅いという具合、それでも新緑の美しさが溢れる庭園には圧倒さればかりだった。
モネが丹精を込めて創り上げたジヴェルニーの庭、それを再現した「モネの庭」の花々が満開に咲き誇る時にぜひまた来てみたいものだ、
モネの暮らしを伝える展示品も展示
敷地内のギャラリーにはモネの暮らしを伝える絵画や日用品が多く展示されていて、その中でも特に目を引かれたのがモネの使用していた食器だった。
モネのダイニングルームに合わせた食器類はシンプルでありながら色彩に富み、来賓客の舌だけではなく目も楽しませたことだろう。
そんなモネの暮らしに思いを馳せていると、どうやら園内のカフェにこの食器を使ったランチがあるとのことで食べてみることにした。
カフェ「モネの家」では地元食材を使ったメニューが豊富
園内にあるカフェ「モネの家」ではゴールデンウイーク特別メニューが提供されていた。
例の食器を使ったランチは肉料理と魚料理の2種類で、今回は「土佐沖白身魚のフライ 野菜のエチェべ添え~柚子風味のタルタルソース~」を注文。
白身魚は臭みもなく、ほんのり柚子の香るソースと絡めるとさらに美味しさを増していくよう。
何より気に入ったお皿でいただく食事というのは、舌で感じる以上に食べ物を美味しくしてくれるのである。
北川村「モネの庭」マルモッタンにある人気エリア「水の庭」
久々の長期旅行となった2024年のゴールデンウイークは、残念ながら天候に恵まれないスタートとなった。
しかし晴天の行程だったら四国自動車博物館やモネの庭には立ち寄らなかっただろうと考えると、これもまた一期一会というものなのだろうか。
どちらも雨の日プランなどと言わずに、また改めて訪れたい場所であった。
©makotomatic.com