野生馬の聖地 宮崎県最南端の都井岬と、大乃屋のぶりプリ丼

 

 

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横須賀と新門司を結ぶ東京九州フェリーで快適な船旅を経て九州の地に到着した前回。
フェリーから降りて走り出したものの、どちらに向かって走ればよいのか分からないのはフェリーあるあるなのだろう。

しばらく走ったところで赤信号で停まることが出来たので、ようやくナビに目的地を入力することができそうだ。

最初の目的地については海の上でもずっと悩んでいたのだが、全体的に好転した今回の旅行の天気の中で初日だけが曇りがちになっていた。

九州中部だと一日曇りの可能性が強いため、阿蘇は後回しにしたほうが良いだろう。
ならば、日中は太陽が拝めそうな九州南部に向かうべきだろうと、僅かな信号待ちの時間で即座に結論を出す。

ナビに目的地を入力すると、聞き慣れた女性の声が目的地までの距離を告げる。

夜の22:00から約400kmもの道のりを走り出すのはなかなかハードだな、そう思いながらアクセルを踏み込み青く灯った信号機を後にする。

いざ野生馬の聖地、都井岬へ。

 

 

 

 

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小松ケ丘

小松ケ丘は都井岬の中でも沢山の馬が集まる

昨晩、北九州の新門司から宮崎県最南端の都井岬へ向けて深夜の高速を走り出したものの、やはり途中で眠くなってしまい、道のり半ばくらいで仮眠を取ることにした。

早く着いたところで日の出を見れる天気ではないし、無理して事故でも起こしたら大変だ。
この旅は時間に縛られない自由気ままな旅なので、焦らずにゆっくり進むことにしよう。

九州自動車道の宮原サービスエリアで軽く仮眠を取った後、明け方の道路をまた進んでいく。
車中で快適に仮眠ができるのも自分の車ならではである。

明るくなってくると、僅かな眠気もすっかり収まって、順調に都井岬まで来ることが出来た。
駒止の門と呼ばれるゲートで野生馬保護協力金として僅かながらの料金を支払い、いよいよ野生馬が暮らすエリアに進んでいく。

 

 

都井岬の野生馬

岬馬はかつての軍用馬が野生化したもの

野生馬と言っても、本来の意味での野生馬というのは、既に絶滅してしまったことが近年の研究で明らかになっている。
今、世の中にいる野生の馬は元々は家畜であった馬が野生化したもので、純粋な野生種というのはもう存在していない。

この都井岬の馬たちも、かつてこの地を治めていた高鍋藩が放牧した軍用馬が野生化したものという事だ。

 

 

小松ケ丘から見る志布志湾

小松ケ丘から志布志湾をのぞむ

都井岬の中でも特に馬が集まっている「小松ケ丘」に登ってみた。
一面に敷き詰められた馬の糞の間を進み、小高い丘の頂上を目指す。

馬の糞と言っても嫌な臭みは全くせず、不思議と心地よさすら感じる自然の香りがした。
風化したものに関しては気にせず踏んでしまっても良いくらいだが、丘へは別に用意した登山靴で登ることにした。

 

 

小松ケ丘

都井岬一帯は野生馬の放牧エリアとなっている

日中は雲が多いながらも、何とか晴れ間が覗いてくれていたので、気持ちいい散策をすることが出来た。
出来ればこの小松ケ丘で夕日を撮りたいと思っていたので、散策をしながら撮影場所の下見も行ったのだが、雲行きはどうやら怪しそうだ。

 

 

都井岬の春駒

今年生まれた春駒も母馬に連れられて姿を見せる

今年生まれた春駒が愛らしい姿を見せ、訪れた人々の人気の的になっていた。
母親の後について周り、草をついばんだり寝そべったりしてなんとも可愛らしく、シャッターを切る指が止まらない。

ただこの可愛らしい春駒も、生きて1歳を迎えられるのは3〜4割という厳しい現実がある。
というのもこの都井岬は決して動物園などではなく、あくまで自然環境のみで野生馬を保護しているエリアだということだ。

都井岬の岬馬について非常に詳しく書かれている文章があるので、興味がある方はぜひ読んでみてほしい。
・岬馬の生態〜都井岬の野生馬たち〜(串間市主任文化財専門員 秋田優)

 

 

 

 

 

 

都井岬灯台

日本の灯台50選にも選ばれた都井岬灯台

夕陽撮影のロケハンを終えた私は都井岬周辺の観光をすることにした。
このエリアの観光といえば都井岬灯台は外せないだろう、ここは日本の灯台50選にも選ばれている有名な灯台だ。

灯台といえば高い塔のようなイメージがあるが、都井岬灯台は屋上庭園式でそれほど高さを感じず、青い海と白亜の灯台の美しさが印象的だった。
また、灯台の中に入ることが出来るのも非常に珍しく、巨大なレンズを間近で見ることもそうそうない経験だった。

都井岬には他にも「観光交流館パカラパカ」という出来たばかりの綺麗な施設もある。
ちょっとしたサービスエリアのような施設で、綺麗なトイレはもちろん、食事や土産物なども購入できる。

この日はコロナに縛られない久々のゴールデンウィーク真っ只中ということもあり、施設もスタッフもキャパオーバー気味の様子が伺えた。
長居はせずに小松ケ丘に戻ることにした。

 

 

都井岬の春駒

馬は一日のほとんどを草を食べて過ごす

結局、都井岬では大半を小松ケ丘で過ごした。
やはりここが一番見晴らしが良いし、春駒を連れた馬もたくさん集まってきている。

馬は自然の草を食べ、排泄し、それを肥料としてまた草が生える。
馬自身も命が尽きれば埋葬はされず、そのままの状態で安置されるという。
それはやがて都井岬の土へ還り、新しい命への礎となるのだろう。

大自然をそのまま詰め込んだ箱庭のような岬、来て良かったと思うに足る収穫があったと感じる。

 

 

都井岬

この日の夕陽はおあずけになった

さて、肝心の夕陽に関しては私の期待には沿わない空模様となってしまっていた。

志布志港から出発した夕方便のさんふらわあを見送ったあたりで潮時か。
この見晴らしの良い丘から見える夕焼けを撮りたかったが、一度来たくらいでは天からの許しは得られなかったようだ。

しかし今度ここへ来るには大阪~志布志のフェリーが良いかな、などと考える程度には楽しい経験が出来た一日だった。

岬馬と夕陽のショットは次への楽しみに取っておこう。

 

 

 

 

 

 

大乃屋のぶりプリ丼

大乃屋のぶりプリ丼

夕食は串間にある大乃屋さんにて、名物の「ぶりプリ丼」を頂くことにした。
ぶりプリ丼は串間市公認の地元グルメのようで、大乃屋の他数店で提供されているようだ。

ぶりプリ丼12か条の定義なるものが掲示されており、定義のいくつかを上げると
「ブリは串間市で水揚げされた活〆のものを使う」
「どんぶりの中は上からブリ、サラダ、ごはん、火を入れたブリとする」
「基本形はどんぶり、アラ汁、香の物とする」

とのことだった。

出てきたぶりプリ丼を見ると、何とも色鮮かな出で立ちで食欲をそそるではないか。

 

 

大乃屋のぶりプリ丼

弾力のあるブリは臭みもなくたいへん美味

丼の上に乗っているのはブリの刺身とヅケで、刺し身は醤油ダレと味噌ダレを使って食べるようだ。
そして丼の底にはライスペーパーに包まれたブリの煮付けがあるというブリづくしの一杯である。

ブリは全く臭みがなく、噛んだ時のプリプリ感が心地よい。
刺し身に付けるこの味噌ダレがまた旨く、ぶりプリ丼12か条に「タレの1つに松尾醸造場の味噌を使用する」とあったが、どうやら串間にある醸造場の味噌らしい。
なんということだ、この醸造場の存在を知っていれば予定に組み込んでいたのに。

この味噌ダレを口に入れた瞬間、やはり都井岬と串間にはまた訪れねばなるまいと改めて心に決めたのだった。

 

 

大乃屋の串パフェ

地元の食材をふんだんに使った串パフェ

〆のデザートには「串パフェ」を。
串間で有名なマンゴーのジャム、かりんとう、金柑シャーベット、あくまきを入れた串間のオールスターパフェだ。

あくまきというものを初めて食べたが、これは南九州で食べられている餅菓子とのこと。
見た目も味も楽しく、たいへんに美味なスイーツだった。

ぶりプリ丼、串パフェ共に地産地消の逸品で、大乃屋の方々も非常に親切で素晴らしい対応だった。

このぶりプリ丼との出会いは、自分の中でも特に忘れられないものとなるだろう。

 

 

 

 

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2022年ゴールデンウィーク初日は北九州から一気に南下して都井岬へやってきた。
天気こそ微妙で撮影的には残念だったものの、体験的には大きなものを得られた一日になったと思う。

それにしても都井岬というのは素晴らしい。
普通に道や車の横を馬が通り過ぎていくのは、かなりの非日常感を味わえるのでおすすめだ。

今回はゴールデンウィーク中ということで、唯一の休憩施設であるパカラパカが混み合ってしまっていたが、普段の落ち着いた休日であればカフェなど様々なサービスも行き届くようになるだろう。

この後は夜の高速をひた走り、念願の阿蘇へ向かう。
初日に都井岬に来たおかけで、阿蘇エリアでの滞在に余裕が持てて、旅程の組み立てがしやすくなった。
大まかには阿蘇での撮影をしながら周辺で過ごし、最終日の夜に再び新門司港からフェリーで帰る算段だ。

目指すは熊本県阿蘇市。
最高の展望地、大観峰へ。