湯のまち別府散策 真玉海岸の夕焼けと、山本ロースの黒豚特ロース定食

 

 

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通潤橋での放水と最高の熊本ラーメンを楽しんだ前回。

2022年ゴールデンウィーク旅行の最終日は、別府経由で新門司港に向かう事となった。

実は通潤橋の観光後は再び阿蘇の吉一牧場に立ち寄り、物足りなく感じていた撮れ高の補填をすべく夕日のチャンスを伺っていた。

阿蘇の豊かな大地の向こう側に沈む夕日を見送り、写欲も程よく満たして満足したところで次の目的地である別府を目指す。

九州旅行の最後の1日に向けて、また夜の道を走り出したのだった。

 

 

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九州での最終日はのんびりと別府散策

別府湾の日の出

十文字原展望台から別府湾の日の出を見る

旅行中は現地にある個人店などで食事をする事が多いのだが、昨晩は何故か無性にマクドナルドが食べたくなってしまい、別府に着くやいなや閉店間際のマクドナルドに飛び込んだ。

そしてやって来たのがこの十文字原展望台である。

別府の夜景を一望できる名所とあって、昨晩は入れ代わり立ち代わり若いカップルなどがここを訪れていた。

私はと言うと、若い人の時間に水を差さないよう車内で息をひそめていたのだが、満腹も相まって気がついたら夜明けになってしまっていた。

昨晩は人で溢れていた展望台も今朝は独り占め、朝日の撮影も手短に済ませて、別府の街の観光に出掛けることにした。

 

 

竹瓦温泉

100年以上の歴史を持つ竹瓦温泉

別府駅近くの駐車場に車を停め、徒歩で向かった先は100年以上の歴史を持つ公衆浴場「竹瓦温泉」である。

もう10年以上も前に仕事で別府を訪れた際にも利用して、あまりの風情にたいそう気に入ってしまった浴場だ。

有名な浴場なので休日の日中は混むだろうと思い、開店して間もなくの頃を見計らって訪れた。

案の定、早朝だけあって人もまばらで、ゆっくりと朝風呂を楽しむことができたのだった。

 

 

餅ヶ浜

整備された緑地が続く餅ヶ浜ビーチ

別府観光といえば有名な地獄めぐりだが、さすがにそこまでの時間は取れそうにない。

名所を周るよりも普通に散歩がしたかったので、昼飯までの運動がてら別府の海沿いを歩くことにした。

別府タワーを通り過ぎて辿り着いたのは餅ヶ浜と呼ばれる海岸で、この辺りは緑地公園になっていて散策もしやすかった。

 

 

さんふらわあこばると

別府港に停泊するさんふらわあ「こばると」

別府港に停泊している中でひときわ目を引くのが「さんふらわあ こばると」だ。

こばるとが就航する別府-大阪航路の魅力は、やはり瀬戸内海を通ることだろう。

もっとも夜間の航行であるから船上の景色は期待できないだろうが、穏やかな瀬戸内海であれば揺れる心配は少なそうで、いつか乗船してみたい航路である。

などと思いながら望遠レンズを覗いていると、さんふらわあの向こう側に変わった船があることに気が付いた。

 

 

練習船日本丸

二代目日本丸が停泊する桟橋

「日本丸」と書いてあるその船体は優雅で美しい帆船であった。

もし海上で見かけることがあったなら、さぞ印象深く心に残ることだろう。

はて、日本丸はみなとみらいに展示されているはずでは・・・と思ったが、こちらは初代日本丸から航海練習船としての役割を引き継いだ二代目なのだそうだ。

ちょうど別府港に寄港している最中だったようで、思わぬ幸運に興奮しつつ、暫くの間その船体を眺めていたのだった。

 

 

 

 

 

山本ロースの黒豚特ロース定食

山本ロース

山本ロースの黒豚特ロース定食

日本丸との思わぬ出会いを楽しんだ後は、別府散策の目的地である「山本ロース」へとやって来た。

観光向けの飲食店が多い別府の中で、この店はおおよそ観光客など寄り付かないようなエリアにあった。

開店前に到着した時には既に数人が並んでおり、明らかに地元か少なくとも県内からのような客層だった。

もしやここは地元民だけが知るような店なのではないだろうか、と思うとお宝を見つけたように心が躍る。

今回注文したのは黒豚特ロース定食、シンプルな盛り付けがかえってとんかつのただならぬ存在感を強調している。

 

 

山本ロース

極上の黒豚を使用したとんかつ

風味の良い豚肉はとても柔らかく、とろりと甘い脂も舌の上で溶けていく感じが心地よい。

結構なボリュームだったが、別府駅からずっと歩いてやって来て空腹だったので、あっという間に平らげてしまった。

人気だったのがヒレカツと海老フライで、数が限定されているメニューはあっという間に売り切れてしまったようだ。

都内の激戦区でも通用する、いや都内などに店を構えたら大行列で大変なことになりそうな美味しいとんかつであった。

 

 

 

 

 

真玉海岸の夕陽

真玉海岸

潮干狩り客で賑わう真玉海岸

とんかつを楽しんだ後はバスで別府駅まで戻り、再び車に乗り込んで次なる目的地を目指すこととなった。

次の目的地は以前より気になっていた「真玉海岸」で、今回の旅程で寄れるとは思っていなかったので楽しみだ。

美しい夕陽を見れることで有名な真玉海岸は潮干狩りのスポットでもあり、到着した時には大勢の家族連れが潮干狩りを楽しんでいた。

 

 

真玉海岸

ここではマテ貝が獲れるようだ

夕刻近くになると潮干狩り客も段々と減り始め、代わって夕陽待ちの見物客が目立つようになってきた。

帰っていく人たちが持つバケツを覗いてみると、ここで獲れるのはマテ貝のようだ。

家族連れでレジャーの人もいれば、近所から今夜のアテを仕入れに来たみたいな人もいる。

どちらにしろ、皆いい笑顔で帰っていくところを見ると、きっとなかなかの戦果だったのだろう。

さて、日の入りの時刻は19時くらい、そこまで居てもフェリーの搭乗時間には何とか間に合いそうだ。

私は頭の上の太陽が水平線の向こうに沈むのを見届けることにした。

 

 

真玉海岸の夕陽

真玉海岸のマジックアワー

カメラを趣味にしている人の中には好んで夕陽を撮る人も多いだろう、もちろん私もそうである。

日が沈んでいくまでの間の雲の動きに一喜一憂する、そういう時間がたまらなく楽しいのだ。

この日の真玉海岸の空模様も様々に表情を変え私をハラハラさせてくれたが、最後の瞬間にはまあまあの微笑みを見せてくれたという感じだろうか。

これで長かった九州の旅も終りとなる。

満足感とも安堵感とも言えぬ気持ちを抱きつつ、いよいよ帰りのフェリーの待つ新門司港へと向かうのだった。

 

 

東京九州フェリーはまゆう

それいゆの姉妹船のはまゆう

運悪く交通渋滞にでも出くわして間に合わなかったら、と心配しながら運転して来たが、九州最後の目的地である新門司港へも無事にたどり着くことが出来た。

つい数日前にここから走り出した事が遠い昔のように感じるのは、九州での濃い体験がまだ自分の中で整理出来ていないからなのだろう。

ここで待っていた「はまゆう」は行きに乗船した「それいゆ」の姉妹船、帰りの船では今回の旅を思う存分振り返ることにしよう。

 

 

 

 

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東京九州フェリー

帰りは洋上でのんびりとした一日を過ごした

突然のコロナ禍で旅行にも行けず写欲を失い、カメラも触らずしまったままだったこの2年間。

満を持して計画した今回の旅だが、実際に出発してみるまでは本当に楽しめるのか不安だった。

が、蓋を開けてみると、今まで経験した旅の中でも最も充実した旅の一つとなった。

やはりそんな結果を後押ししてくれたのは、旅行中を通して文句のつけようのなかった天候だろう。

元々はほぼ雨や曇りの予報だったのだが、出発日に全ての予報がひっくり返るという奇跡が起きたのだ。

そんな幸運や、九州という場所の持つ魅力もあって、今回の旅は最高のものとなった。

 

最後は東京九州フェリー「はまゆう」での快適な航海で横須賀港へ到着、疲れがどっと出る旅の帰り道も新設された航路のお陰で楽しく満喫したのだった。

横須賀と北九州を結ぶこの航路を体験した上で言えるのは、非常に便利でおすすめできる交通手段だということだ。

車で関東~九州を走ったとしたら休憩を入れても12~13時間は掛かるだろうし、東名や名神の渋滞があればそれ以上も覚悟しなければならない。

もちろん車を運ぶのはなかなかに高額で、自走のコスパには遠く及ばないが、体力を残したまま行動できる、もしくは帰宅できるというのは、場合によっては金に代えがたいメリットになると今回強く実感した。

また九州への旅を計画した時は、積極的に東京九州フェリーを利用したいと思う。