念願だった阿蘇での撮影旅行を楽しんだ前回。
天候に恵まれ順調に進んでいる旅程を確認してみると、かなり日数に余裕が出来たことが分かった。
帰りのフェリーの日時が決まっているので、無理なく行ける場所だけを巡る予定だったこの旅。
しかし予定が順調に進んだおかげで、訪問を諦めかけていた観光地へも行くことが出来そうだ。
再び九州を南下して、次に向かうのは熊本県山都町にある通潤橋、そして宮崎県の誇る名所である高千穂峡だ。
阿蘇の地で温泉と焼肉を堪能した私は、今夜の車中泊地である「道の駅高千穂峡」を目指したのだった。
宮崎県の誇る名所 高千穂峡へ
早朝は人もまばらな高千穂峡の遊歩道
昨夜は滞りなく目的地である「道の駅高千穂峡」に到着したが、同じ車中泊目的の方々で駐車場が満車になってしまっていた。
さすがの私も、これはどうしたものか・・・と途方に暮れてしまった。
だが、離れた場所にある第二駐車場は空いていたので、何とか一晩の仮眠場所を確保する事が出来たのであった。
高千穂峡は御存知の通り、九州地方のみならず、国内でも屈指の知名度を誇る観光地である。
当然、日中は混み合うことが予想されるため、人が少ない早朝に散策を始めることにした。
阿蘇山からの火砕流によって形成された柱状節理
高千穂峡そのものはさほど広大な場所ではなく、有名な真名井の滝の周辺だけに絞れば1時間程度の散策といった具合だ。
今回は渓谷沿いの散策路を往復するだけの簡単なルートを歩いたが、見事な柱状節理には圧倒されるばかりだった。
調べるとこの柱状節理は数万年前の阿蘇からの火砕流によって作られたと言うから驚きだ。
高千穂峡といえば真名井の滝が一番の有名スポット
やはり高千穂峡といえばこの風景だろう。
真名井の滝(まないのたき)はこのように遊歩道から眺める他に、貸しボートで滝の間近に行くこともできる。
この日は早朝から貸しボートの行列があったようで、時間になると次々とボートに乗った観光客が漕ぎ出してきていた。
真名井の滝といえばエメラルドグリーンの印象があったが、早朝はまだ光が当たらないせいか地味な色で撮ってしまった。
よく見る写真は盛っている場合が多いのだが、実際見てみると条件によってはかなりエメラルドグリーンになりそうな感じだ。
またいつか来た時にはボートからの光景も見てみてみたいものだ。
神話の香りが漂う高千穂神社
高千穂峡を散策した後は、すぐ近くにある高千穂神社にも立ち寄り参拝をした。
約1900年前に創建されたといい、数多の神話との関係も深い国史見在社となっている。
歴史を感じる本殿や樹齢800年のご神木など、何とも言い表せない重厚な空気が漂う神社だった。
ひとつ心残りなのが、源頼朝が寄贈したとされる鉄製の狛犬一対があることに気が付かず去ってしまったこと。
高千穂峡周辺は急遽来ることになったため、全くの勉強不足で行き当たりばったりの見学だったのだ。
この周辺は高千穂神社をはじめ、天照大神が隠れたとされる洞窟を御神域とする天岩戸神社などがある。
これは改めて知識を蓄えた上で再訪する必要がありそうだ。
そうそう、帰りがけに昨晩の仮眠場所を提供してくれた「道の駅高千穂峡」へ寄り土産を買い込んだのだが、金柑入りの饅頭が非常に美味だった。
日本最大級のアーチ式水道橋「通潤橋」を巡る
通潤橋は日本最大級のアーチ式水道橋である
高千穂峡のある宮崎県から再び熊本方面へと走り、熊本県山都町の通潤橋へとやってきた。
石造りの見事なアーチ橋である通潤橋は、1854年に水利に恵まれなかった白糸台地へ通水するために建設された。
現在はほぼ観光用に通水するだけのようだが、必要であれば水需要にも対応できるようメンテナンスがされているとの事だ。
狙ってきたわけではないのだが、幸運にもこの日は放水日だと言うことで、午後の放水イベントまで滞在することにした。
枚数限定の観覧証を購入すると橋上から反対側へ渡ることが出来る
隣接する「道の駅通潤橋」に車を停め、通潤橋の上を渡って見学をすることが出来る橋上観覧証(県外の大人:500円)を窓口で購入する。
ちなみにこの観覧証がなくても通潤橋の下までは行けるのだが、橋上の風景と橋を渡った側での撮影をしたくて購入したのだった。
思ったよりも広く感じる橋上は保全の観点から一日の観覧証の発行数が限定されており、そこを歩くにあたっても様々な注意事項がある。
そのお陰なのか、手摺のない橋上でも今まで転落事故は一件もないそうだ。
熊本一との噂を聞いて訪れた「おちかラーメン」
通潤橋からほど近いおちかラーメンの特製ラーメン
通潤橋付近をひと通り見学したところで、すぐ近くにある「おちかラーメン」へと向かう。
実はこの町へは「おちかラーメン」目当てでやって来たと言っても過言ではない。
熊本県出身の知人から「熊本一うまいラーメン」との話を聞いていて、ようやく訪問が叶ったという訳だ。
今回注文したのは「特製ラーメン」で、たっぷりのチャーシューが嬉しい一品だ。
極上の正統派熊本ラーメンに感激
にんにくの香ばしい風味が特徴の正統派の熊本ラーメン。
こんなににんにくが効いているのに辛味やエグみが全く無く、いくらでも食べれそうな気持ちになる旨さだった。
熊本ラーメンは言うほど食べた経験は無いが、間違いなく今まで食べた熊本ラーメンの中で一番の味だろう。
ただ、普通盛りでは全く足りないので、空腹で訪れたのなら大盛りを強く推奨する。
通潤橋の放水に立ち会い円形分水へ
放水とともに歓声があがり大人も子供も大興奮
熊本一と名高いラーメンを食べて満足したところで再び通潤橋へ戻る。
あらかじめ決めておいた場所に座り放水の時間を待っていたのだが、なかなかに暑い日だったので場所を明け渡して日陰に移ろうと思ったほどだ。
だが放水が始まり気持ちの良い飛沫を浴びた瞬間に、そんな気もすっかり失せてしまって、ひたすらに写真を撮っていたのだった。
放水口も見学することができる
放水後10分ほどで水圧も徐々に弱まり、最後は放水口の見学をしようと橋へ上がることにした。
今回撮影をした場所や橋の上へは人数限定の観覧証が必要で、それによって橋にかかる負担をコントロールしているのだろう。
まもなく放水が終わるので人もまばらだが、放水開始時には下の広場は人で埋まっていて圧巻だった。
長年にわたり正確な分水を続ける円形分水
通潤橋へ豊富な水を送っているのは、3kmほど離れた場所にある「小笹円形分水」である。
もちろん通潤橋と合わせて巡るべきスポットであり、こちらも相当混んでいると思っていたのだが、幸運にも入れ替わりで数人が来る程度でほぼ独占状態で見学する事ができた。
円形分水は全国各地にあるが、恥ずかしながら実物を見たのは今回が初めてだった。
正確に水の量を分派する仕組みと、その見た目の美しさは見ていて飽きることがない。
かつては干ばつの度に起こっていた水争いが、昭和31年に円形分水が完成してからは解消されたという。
高千穂峡、通潤橋と県を跨いで隣接した名スポットを纏めて訪問できたのは感激と言ってもいい。
特に念願だった「おちかラーメン」は予想以上の旨さで、正直また食べるのに山都町を訪れるのもやぶさかでない。
さて、九州の旅もようやく終わりが近づいてきて、明日の夜は新門司港から帰りのフェリーに乗らなくてはならない。
好天のお陰でスケジュールが捗りすぎて、通潤橋に居た時点では最終日の行程は全くの未定だった。
福岡方面へ行くか、もう一度阿蘇へ行くかと、いくつかの選択肢を吟味した結果、最終日は別府方面を観光しつつ新門司港へ戻ることにした。
最終日の別府に関しては撮影とかはあまり考えず、気楽に温泉でも入ったり散歩したりして過ごすのがいいだろう。
出来れば前から気になっていた夕日の美しい海岸へ寄りたいが、果たして最後まで好天が続くだろうか。
いざ日本屈指の温泉処、別府へ。
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