荒々しい岩場を登り辿り着いた瑞牆山からの絶景と、食いもん屋北甲斐道の馬刺し丼

 

今年のいかにも梅雨らしい梅雨のおかげで、5月中旬以降は全くと言っていいほど外出が出来なかった。

と言っても椚に生える茸のように動かずに過ごしていたわけでもなく、結局は仕事がそれなりに忙しいのもあり天気のせいにして休日を無為に過ごしてしまっていたのである。

真っ当な梅雨のおかげで紫陽花や水芭蕉も見事に季節を彩っていたようだが、ぼくが一番に期待しているのが今年の紅葉への好影響だ。
ここからの夏の暑さや台風にもよるが、梅雨もなく夏ばかりが長かった年に比べれば幾分か色づきが良くなるのではないだろうか。

早くも秋の計画を思い描きつつも、まずはようやく訪れた夏の日差しを楽しむことにしよう。

そこで、以前から行きたいと思っていた瑞牆山(みずがきやま)への日帰り登山に行くことにした。

 

瑞牆山(みずがきやま)


瑞牆山(みずがきやま)は山梨県北杜市(旧北巨摩郡須玉町)にある標高2,230mの山で、奥秩父の山域の主脈の一つ。
旧須玉町域の最北部にあたる。
日本百名山のひとつ。

wikipediaより

 

 

 

 

 

5:00 瑞牆山登山口駐車場
瑞牆山駐車場

登山口近くの駐車場に車を停め山行開始

土曜の夕方から下道を走り、のんびりと山梨入りして登山口近くの駐車場で仮眠を取ることにした。
8月最初の週末だったので駐車場が混んでいるかと思ったが、日帰り登山客が多い山のせいか深夜の駐車場は思いのほか空いていた。

夏の車中泊のために用意した虫よけネットを、暗闇の中で窓に装備して仮眠の準備が完了。
運転中から眠気に襲われ続けていたせいか、横になった途端に明け方までぐっすりと寝てしまった。

5時頃に目を覚ますと徐々に登山客の車も来始め、にわかに駐車場も賑やかになっていた。
この日は平野部は晴天の予報だったが、山間部は雷の発生が注意されていたので、早めに登ってしまいたいところだ。

 

 

5:21 登山口をスタート
瑞牆山登山口

瑞牆山は登山口までバスもあり、人気の日本百名山のひとつ

瑞牆山荘の前にある登山口から入山。
山頂までは2時間50分と中程度の山行だが、途中からは岩場が多くなり鎖場やロープなどがあり全身を使う登山になる。

瑞牆山は奥秩父から連なる山脈の一峰で、むき出しの岩が独特の景観を創り出していることで人気の山である。
ポピュラーなコースとしては、ここから1時間ほどの距離にある富士見平小屋にテントを張り、2日に分けて瑞牆山と金峰山を登るルートだろうか。
金峰山も魅力的だが、この日は日曜ということもあり、日帰りで瑞牆山のピストンを選択することになった。

 

 

6:10 瑞牆山を見上げるベンチ
瑞牆山を望むベンチ

瑞牆山を望むベンチから

登山口から30分ほど歩いた所で目の前が開けたベンチに出て、そこからは瑞牆山の山頂を見上げることができた。

今回のルートの殆どは森林帯の中を歩くので、このような眺望を楽しめる場所は非常に少ない。
あと3時間後くらいには自分はあのてっぺんにいるはずで、一瞬の切れ間から見た景色は様々な不安を溜めていた心を軽くしてくれた。

 

 

6:31 富士見平小屋に到着
富士見平小屋

富士見平小屋は女性にも人気の山小屋で、石窯ピザやソーセージなど豊富な食も揃う

ちょうど一時間ほどで最初のチェックポイントとなる富士見平小屋に到着した。

ここで瑞牆山と金峰山のルートが分かれるため、富士見平小屋をベースとして二峰を登る登山者も多い。
瑞牆山へのピストンだと、この富士見平小屋だけが道中にある唯一の山小屋なので、一応トイレを済ませて先に進むことにした。

 

 

7:18 天鳥川源流
天鳥川源流

天鳥川の源流まで一旦高度を下げる

富士見平小屋からはせっかく上げた高度を沢まで下げることになった。
行きはヨイヨイだったが、帰りは案の定この登り返しでバテてしまった。

普段からこれといった体力作りをしていないので、簡単な登山でもかなり厳しいコンディションに感じてしまう。
昨年途中で止めてしまったランニングをまた再開しないとな、と、帰りの道中ずっと考えていた。

 

 

7:20 桃太郎岩
桃太郎岩

誰もが足を止めそのスケールに驚く桃太郎岩

様々な奇岩を楽しめる瑞牆山の登山道だが、その中でも一際有名なのはこの桃太郎岩だろう。

真っ二つに割れた岩がまるで桃太郎が生まれた桃に見えることから名付けられたのだろうか。
誰が始めたのか無数の支え棒が岩の下に立てられていて、この岩だけを見ても瑞牆山は登山者を非日常に誘ってくれるのが分かると思う。

桃太郎岩はコースのちょうど半ば程にあるのでペース配分の目印にもなり、またここを境に登山道の様子も一変してくる。
Tアニメ「ヤマノススメ サードシーズン」においても、瑞牆山・金峰山の回では桃太郎岩の描写が丁寧に描かれているので是非見返してほしい。

 

 

7:32 鎖場
瑞牆山の鎖場

各所に鎖場があり初心者でも岩登りの楽しさを味わえる

桃太郎岩を過ぎると、登山道は山登りから岩登りへと変化してくる。
所々にロープや鎖場があり登山には注意が必要だが、ある意味飽きのこないアスレチックなコースとも言えるだろう。

こうなると積極的に腕を使ってよじ登っていくせいか、むしろ機動力が増して負荷も分散するので、足だけの登山道よりも疲労は少なかった。
ただ、グローブは必須だ。

 

 

8:27 大ヤスリ岩
大ヤスリ岩

山頂への入口となる大ヤスリ岩

ひたすら岩場を這い上がり続けていると、ひときわ特徴的な大ヤスリ岩が姿を表す。

この岩は頂上に登るとすぐ真下に見える大岩で、つまりもう頂上が近いということになる。
あとはこの大ヤスリ岩の後ろを回り込むようにして登るだけなので、気分的にも少し楽になってきた。

 

 

9:00 山頂へと続く道
瑞牆山頂への道

殆ど森林帯の中を歩いてくるコースなので頂上が唯一と言っていい開放スポット

山頂に到達する直前のこの瞬間を待ちわびながらずっと登り続けてきた・・・!

あの先にゴールがあると思うと、この最後の登りの足取りがとても軽くなるのが不思議だ。

 

 

9:10 瑞牆山登頂
瑞牆山の山頂

瑞牆山頂からの眺め 八ヶ岳や南アルプスを一望

コースタイムは良くなかったが、何とか山頂まで辿り着くことができた。

先程の大ヤスリ岩を眼下に置き、遥か向こうには八ヶ岳・南アルプスを一望できる。
条件が良い日には富士山も見えるので豪華な山頂である。

事前に色々な写真を見ていたので景色は知っていたものの、実際に見ると写真以上に素晴らしい展望で登山客が多いのも納得できる。
迂闊だったのが24mmのレンズでは全然広角が足りず、仕方なくiPhoneのパノラマで撮影しトリミングをした写真になってしまったこと。

無理して5D4 + 24-70mm F2.8L IIの組み合わせを担いできてしまったが、ベストはα7II + 24-70mm + 16-35mmだった。

 

 

瑞牆山の山頂

瑞牆山の標識 日本百名山の一峰

山頂はそこそこ人も多く、標識を撮るのにもタイミングを見計らう。

瑞牆山の標高は2230m、登山口からの標高差は約630m。
いたる所に奇岩が転がっており、途中からはほぼ岩登りという登りがいのある山だった。

 

 

ガスに包まれる瑞牆山

食事をしている間に山頂はガスの中に飲み込まれてしまった

登頂して何はさておき写真だけはざっと撮って、その後に昼飯を食べていたらあっという間に山頂がガスに包まれてしまった。

食後にまた写真を撮りたかったのだが、真下にある大ヤスリ岩も見えなくなるほどになってしまったので、潮時と思い身支度を整えて下山することにした。

この日は午後から雷雲が発生する予報が出ていたので、あまり頂上には長居するつもりはなかったのだが、岩山の先っぽは居心地が良くて結局一時間ほど休んでいた。
下山中に登ってくる登山者と何回もすれ違ったが、タッチの差であの展望が見れなかったと思うと早く登り始めて良かったと思う。

 

 

12:24 下山
瑞牆山荘

瑞牆山荘の生ビールののぼりが喉の乾きを誘う

約3時間ほどで登山口の瑞牆山荘に帰ってきた。

下りは相変わらず膝が痛くなり辛い道中になった上に、汗で冷えたのか腹痛にも襲われて生きた心地がしなかった。
何とか富士見平小屋まで辿り着いて事無きを得たが、次回はストッパなどの薬を忘れずに用意しておくことにしよう。

とりあえず無事に下山できて良かったと車で片付けをしていたら、よく分からない虫に刺されてしまった。
一見アブのようで問題は無さそうだったが、念の為ポイズンリムーバーで吸引しておいた。

この後は外界に降りて日帰り温泉でまずはクールダウンのために水風呂に浸かる。
心なしか後日の筋肉痛も和らいだような気がした・・・

 

 

 

 

食いもん屋北甲斐道の馬刺し丼

食いもん屋北甲斐道の馬刺し丼

色鮮やかな馬刺し丼(950円 税抜)

山梨で有名なグルメというと真っ先にほうとうが思い浮かぶが、甲州の郷土料理として古くから食べられている馬刺しも有名である。

馬刺しなど高級食材なのでおいそれと食べれないと身構えてしまうが、石和温泉にリーズナブルに馬刺し丼を食べられる店がある。
週末になると県外ナンバーで混雑するという「食いもん屋 北甲斐道」は、ラーメンチェーン店の居抜きのような外観とは裏腹に馬刺し丼を名物としている。

この馬刺し丼は950円(税抜)ととてつもなくリーズナブルな値段で提供されており、それでいて非常にうまいと評判なので今回寄ってみることにした。

 

 

食いもん屋北甲斐道の馬刺し丼

馬刺しと白米に絡むタレが旨さを倍増させている

ここの馬刺し丼は味が付いているのでそのまま頂ける。
桜肉は非常に柔らかく、絶妙な味付けのタレが絡んだ白米の甘みと相まって、恍惚とするほどの旨さが口の中に広がる。

都内あたりで下手な馬刺しを頼むと半分凍った状態で出してくる店も少なくないが、ここは常温に近い温度で提供されるので、口入れた時に肉の甘味をより感じやすい。
終始美味しくいただくことができて満足な馬刺し丼だった。

ここはどうやらラーメンも美味しいとの話なので、次に来た時にはラーメンを頼んでみることにしよう。

 

 

 

 

あとがき

瑞牆山の山頂

うっすらと富士山の姿も見えていて良い登山となった

というわけで「荒々しい岩場を登り辿り着いた瑞牆山からの絶景と、食いもん屋北甲斐道の馬刺し丼」でした。

本来は土日で上高地、もしくは尾瀬にテン泊するつもりだったのだが、土曜の天候が悪かったため急遽日帰りで瑞牆山登山に変更となった。
終わってみれば楽しかったが、体力を含めて登る準備が足りなかった感があり、秋の山行までには色々と整えて臨みたい。

岩の山は初めてだったがすごい楽しかったので、次は大弛峠~金峰山を検討してみよう。