歴史の宿 金具屋で体験する千と千尋の神隠しの世界と、信州の幸を使った不老膳


「千と千尋の神隠し」に登場する油屋のモデルと噂されている、渋温泉が誇る歴史の宿・金具屋に泊まってきました。

7月の上旬に信州・渋温泉にある「金具屋」に行ってきました。
超有名な宿なので詳しい説明は省きますが、ここは千と千尋の神隠しに登場する油屋のモデルになった建物なのでは・・・とファンの間で噂されている建築物になります。

渋温泉は長野の北陸側なので関東からは遠いイメージでしたが、最近は道路が整備されて便利になったおかげで、たった4時間ほどで行くことができました。

 

 

 

 

歴史の宿 金具屋

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地元の神奈川県から圏央道~関越道~上信越自動車道を経由して、約4時間ほどで渋温泉近くの道の駅やまのうちに到着。
チェックインの予定より早く着いてしまったので、この先にある志賀高原をドライブしたりしていました。

 

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宿のチェックイン時間になったので再び渋温泉に。川のこちら側がメインの温泉街となり、金具屋もこちらにあります。
川の向こうにある金具屋の駐車場には従業員の方が待機していて、宿までハイエースで送ってもらえました。

 

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温泉街は平日なのでとても空いていてのんびりできそう。

 

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金具屋に到着。写真で見て外観は知ってはいたものの、なるほど確かに油屋のイメージを感じる建物でした。
やはり木造で4階建てという稀有な建築がそう思わせるのでしょうかね。
残念なことにチェックインに気を取られて、昼間の建物の全景写真を撮り忘れてしまいました。

 

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金具屋は幾つもの建屋が繋がった造りになっていて、その中でもフロントになっている建物は比較的新しい建築物。

 

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部屋に案内され奥に進むと、いきなりノスタルジックな雰囲気に変わります。
金具屋の館内は部屋ひとつひとつを家屋に、廊下を道に見立てて造られているんだそう。
なので部屋に廊下を見れる窓が付いているし、この通りは商店をイメージしたものらしい。

 

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金具屋の部屋は全て別々の造りになっていて、それぞれの客室が特徴のある建築になっていてとても面白いです。
ネット予約だとプランだけの選択で部屋は選べませんが、電話で予約すると部屋を選べるので『杏林(あんず)』という部屋にしました。
働いたら負け。

 

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この杏林はAプランでのみ選べる部屋で、Aプランにすると夕飯も一品増え、個室での食事になるいうことです。
Aプランと言っても2万ちょっとくらいなので、金具屋の知名度やサービスを考えると、金具屋の宿泊費は格安と言えると思います。

 

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杏林を選んだのはこの縁側スペースがえらく気に入ったからですが、昔のモダンな家には和風ながらもこういう洋風な場所がありましたね。

 

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えらい骨董品が置いてあると思ったら現役の内線でした。
特に用事がなかったので使いませんでしたが、いざ使おうと思っても使い方が分からなそうです。

 

 

金具屋の様々な内風呂

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金具屋には源泉を引いた内風呂が8箇所もあります。
これは屋上にある露天風呂で、内湯の中では唯一硫黄分を含んでいるとのことで、独特のヌメッと感が気持ち良い温泉でした。
人が入っていない時に撮らせて下さいと許可は得ておりますが、他の宿泊客も風呂には必ずカメラ持ってくるくらい、金具屋は内湯が有名なのです。

 

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こちらは鎌倉風呂と言われてる風呂で、次に紹介する浪漫風呂とは24時間で男女の入れ替えをしています。
他にも入浴時には施錠して入る貸し切り風呂もあり、内湯だけでも一日楽しめる旅館だと思います。

 

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こっちが浪漫風呂で、これはビジュアル的にも一番有名な金具屋の内湯になりますね。
ここは人が居ない時に行って撮りたいと思い、早起きして明け方に行きましたが同じことを考えてる人とばったり会いました。
でも湯気であっという間に曇ってしまってまともに撮れなかったので、綺麗に撮るのは諦めて風呂に入りました。

 

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風呂上がりの麦ジュースは最高ですね。

 

 

温泉街散策と外湯めぐり

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今回の旅程は天気に恵まれていなかったのですが、せめて雨が降り出す前に温泉街を散策します。

 

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平日なので人もまばらな温泉街。
元々は湯治や逗留のために山奥にあった温泉なので、メジャーな温泉街と比べると寂しい印象かもしれません。

 

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味噌まんじゅうを夜食に買ったらすごい美味かった。
翌日にお土産で買おうと思ってましたが、朝からの大雨で失念してしまいました。

 

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渋温泉の旅館に泊まると「9つある全ての外湯に入ることが出来る鍵」を借りれます。
外湯めぐりが楽しみで渋温泉に訪れる人も多いみたいで、この平日は男湯よりも女湯のほうが出入りが多そうでした。

 

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このような外見の外湯が温泉街の中に9箇所あり、先程貸与された鍵を開けて入ることができます。
それぞれ湯質が違うので効能もそれぞれ異なるという面白さ、さすが古くから湯治で有名な場所だけある。
ぼくは今回はこの初湯と6番湯、そして日帰り入浴でも利用できる9番湯に入ってみました。

 

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始めは一番湯から入りましたが、渋温泉のお湯はとにかく熱い、めちゃくちゃに熱いのです。
人の多い週末だと前の人が薄めてくれていますが、ほぼ人の居ない平日は熱い湯が湯船に溜まっていて、本当に入れないほど熱い。
せっせと水で薄めてやっと湯にありつくとすごいいいお湯で、この木の湯船の感触も素晴らしく良い・・・・

 

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こちらは”目洗いの湯”と呼ばれている六番湯で、その名の通り眼病に効能のある湯質だそうです。
先程の一番湯とは湯質が違うのが写真でも分かるかと思います、ここは透明な湯の中に白い湯花が浮いているのが分かるでしょうか。
流石にこの季節に何回も入るのは辛いので、一番湯、六番湯、九番湯を楽しみました。
もう少し涼しくなったら改めて渋温泉に泊まりに来たいなぁ。

 

 

 

 

金具屋の歴史を知る文化財めぐりツアー

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夕飯前に金具屋文化財巡りというツアーをやっているので参加してみました。宿泊客は無料で参加できます。
集合場所は大広間で、この舞台も当時のままのものだということです。

 

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9代目が直々に案内してくれる約30分ほどのツアーは、金具屋の成り立ちや建築の歴史など内容が濃くて面白いのでおすすめです。

 

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集合場所のこの広間はお食事会場になっていて、当時でこれだけの広間で柱がないというのは凄いことだったらしいです。
今回は個室が用意されるプランだったのでここでは食べれませんでしたが、今度来る時はこちらで食事を頂きたいものです。

 

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凝った装飾かと思いきや、本当の水車の部品を使用しているそうです。
当時、建築や増築をした際に、普段は堅苦しい建物ばかり立てている宮大工に頼んで好きに作ってもらったらしいです。
部屋をひとつひとつ家屋に見立てていたり、室内に空があったりと遊び心に溢れた意匠で、紹介しきれないくらい独創的で楽しい建物です。

 

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小物も良いものを使っていて、ほとんどが当時のまま残っているそうです。
この切子細工の照明も当時の物なのだろうか、これ非常に気に入ってしまいました。

 

 

金具屋の夕食 信州の不老膳

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そしてようやくの夕食はオリジナルの地鶏の治部煮の信州仕立て「しぶのじぶ煮」。
蓋取るの忘れていますが、火にかけられている鍋が治部煮です。
信州が長寿大国な理由は多く存在している良質な温泉と、信州特有の食材、食文化によるものである!
という考えで不老膳をめざしているんだそうです。

 

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岩魚の塩焼きがホロホロと柔らかく上品な味で美味かったです。
川魚はそれほど美味しいイメージがありませんでしたが、完全に間違いでした。

 

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揚げ出し豆腐もじわ~っと染み渡る素晴らしいお味。
舞茸も好きな食べ物ですが、地元のものは全然味が違いますね。

 

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治部煮は本当に美味かった。鶏は臭みなど全く無く弾力に溢れ、贅沢に入った茸たちがまたとてつもなく良い味なのです。
この黒っぽい茸はなんだろうと仲居さんに種類を聞いてみたらアミタケということです。
多分初めて食べましたがとても美味でした。

 

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信州といえばやはり蕎麦、そしてここでもやはり茸が使われていて、茸好きの僕には嬉しい限り。
長寿大国信州の秘密は、やはり蕎麦ときのこにありですね。

 

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料理のボリュームが多すぎてもう無理・・・のところで出てきたデザートはもちろん別腹です。
しかし、Aプランだと食事は個室を用意されるのですが、写真撮るのにはとても暗くて料理の色が全然出ませんでした。
ライトバンクでも持ってくればよかったなどと考えてしまいました。

 

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登録有形文化財の金具屋は夜にはライトアップがされます。かなり有名な写真ですが、僕もようやく撮ることが出来ました。
手前のお立ち台では金具屋をバックに記念写真が撮れるようになっていて、旅館としても観光スポットとしても活躍しているすごい建物です。

 

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金具屋のねこ、にゃん太(メス)

 

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観光地のねこは悟りを開いているので人間が空気。

 

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そして一夜明けて朝飯は麦とろ御膳であります。
昨日は雨が降ってきてしまい、深夜の散策もできずさっさと寝てしまったので、胃にまだ晩御飯が残っている感じがする・・・

 

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朝風呂に入りまくってもっと腹を減らしておくべきだったかな、などと思いつつも美味しくいただきました。
朝も個室で頂きましたが、窓がなく夜のように暗くて朝の気分がしなかったのが残念。
Aプランの部屋に泊まると食事も個室になってしまうので、次は舞台のあった大広間で食事が食べれるBプランにしたいです。

 

 

 

 

というわけで「歴史の宿 金具屋で体験する千と千尋の神隠しの世界と、信州の幸を使った不老膳」でした。

この金具屋が実際に千と千尋の神隠しの油屋のモデルであるかは公式のアナウンス等もなく、あくまで巷で言われているだけであります。
しかし、現在の建築法では許可されていない、かつ現存する数少ない木造4階建ての建物であることから、「ここは全く関係ない」とはとても思えないほど千と千尋の神隠しの世界を感じられる場所でした。
そして何よりも、とても素晴らしい湯と料理が楽しめる旅館であるというのだけは間違いないですね。

こうなるともう一箇所、やはり油屋のモデルと言われている四万温泉の積善館にも行ってみたいところであります。