冬の美ヶ原トレッキング 青空を飾る彩雲と、王ヶ頭ホテルのビーフシチュー

 

2018年の1月後半は長野県にある美ヶ原に行ってきました。

 

美ヶ原とは


美ヶ原(うつくしがはら)は、八ヶ岳中信高原国定公園北西部にあり、長野県松本市、上田市、小県郡長和町にまたがる高原。日本百名山の一つ。
長野県のほぼ中央に位置し、県内の広範囲を見渡すことができる。このことから各種、放送・通信の要衝となっている
最高峰は、王ヶ頭(2,034m)。他に、王ヶ鼻(2,008m)、茶臼山(2,006m)、牛伏山(1,990m)、鹿伏山(1,977m)、武石峰(1,973m)といったピークがある。山頂付近は平坦な台地状の地形で、美ヶ原牧場と呼ばれる牛の放牧地となっている。

wikipediaより

 

 

標高2000メートルにある美ヶ原までは車で行くことができ、夏は牧場でハイキング、冬季は広大な台地でスノートレッキングが楽しめるスポットになっています。
今年はまだ雪が少ないと聞いていたのですが、この週はまあまあ降ったとの話を聞いたので様子を見に行くことに。
奥日光であまり使わなかったスノーシューや、新しく買った冬靴、スタッドレスタイヤの効果などを一気に感じられる楽しい一日となりました。

 

 

 

 

美ヶ原まで
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前日の夕方に家を出発し、長野まで下道を延々走る。
最近は高速代の節約のため、片道200~300km程度なら下道で行くことが多い。
もちろんその日の行動予定にもよるが、ほんの数時間多く運転するだけで往復で約1万円も浮くのだから馬鹿にできない。

6時間ほどかけて美ヶ原近くの和田宿ステーションという施設に到着し、そこで仮眠を取りつつ朝を待つことにした。
夜の間はかなり冷えていたが、寝袋と銀マットで暖かくしていたので、最近の車中泊は快適に眠ることができている。
むしろ寝すぎて日の出に出遅れてしまうという失態をしてしまい、寝袋から飛び出て間もなく県道178号を美ヶ原まで急ぎつつも慎重に登っていく。

この美ヶ原までの登坂は理想的な雪道で、昨シーズンに購入したスタッドレスタイヤの効果をようやく体感することができた。
自分には値の張る買い物だったが、ブリザックとAWDの安心感は値段に代えがたいものだった。

 

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山本小屋ふる里館に到着したと同時に日が昇ってきて、慌ててカメラを用意して撮影する。
この日は蓼科山から八ヶ岳の稜線まで綺麗に見通せるほど空気が澄んでいて、山本小屋に宿泊していた観光客も楽しそうに記念写真を撮っていた。
ただ、期待していた雲海は全く出ていなかったので、今シーズンあと数回は来ることになるかもしれない。

 

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こちら側、向こうに見える山々は白根三山だろうか。
空の色が美しいグラデーションに染まり、しばし至福の時間を過ごすことができた。

 

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山本小屋宿泊以外の一般車が来れるのは、この山本小屋ふる里館の駐車場までとなる。
ここでも標高は約2000メートルあり、気温は−15℃。車を一歩出ると稜線に吹くような強風に襲われる。

しばらく車で待機し風が弱まって来たところで準備を始めたが、慣れていない冬装備の準備に1時間ほどかかってしまい、歩き始めたのは8時くらいになった。

 

山本小屋ふる里館~王ヶ頭ホテルまで
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駐車場からしばらく歩いて牧場を抜けていく歩道へ入る。
前を行くお二人も写真を撮りに来たようで、近づかず離れずといったペースで王ヶ頭まで一緒に歩くことになった。

 

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一面の雪原となっている美ヶ原、天気は良いものの地吹雪が容赦なく体を打ちつけてくる。
目指す王ヶ頭は美ヶ原のどこからも見える故の存在感を醸し出していて、まるでRPGのフィールドの果てにある城のようだった。

 

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小屋からしばらくは除雪車で整地されていたのでスノーシューは履かずに背負ってきたが、牧場に入ると本格的に積もっていたので装着して進むことにした。
国内のスノーシュー市場はMSRもしくはATRUSが強いが、ぼくはデザインで一目惚れした「TSL SYMBIOZ Elite M」を使用している。
MSRのように踵に回すタイプと違って完全に足首に固定するので間違っても外れないので安心感があり、かつ装着と脱着が素早く出来る仕組みになっている。

靴は今回が初使用の「SCARPA モンブランプロGTX」で、LA SPORTIVAのネパールエボと並んで冬用登山靴の定番の品物。
オートマチックアイゼンが付けられる冬用登山靴という条件で、ネパールエボよりも軽く幅が広いモンブランプロを以前から狙っていた。
一番人気のネパールエボはどこも売り切れだったが、モンブランプロは自分のサイズの在庫があったので即決で購入。
今まで買った中でダントツに高い靴なので購入時は痺れた。

先日の奥日光で使った3シーズンの靴は-5℃程度で冷気が染みてきて危険を感じたが、モンブランプロは-15℃の美ヶ原でも暖かく過ごすことが出来たので迷わず買って良かったと思う。
もっと経験を積んで、いつかこの靴本来の性能が活かせる山にチャレンジしてみたいものだ。

 

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途中で小屋のスノーシューツアーの団体と出会った。
団体は途中から牧場の真ん中を抜けていくコースをとって別れたが、晴天の好条件の中で新雪でのスノーシューを楽しんでいたようだった。

ぼくも牧場をショートカットして新雪を踏みながら歩こうかと思ったが、今回は初めてということもあり柵に沿って歩くことにした。
ちなみに積雪時は牧場の中に入っていっても問題はないが、夏は牛がいるので安全や衛生の観点から柵から内側へ入ってはいけない。

 

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さっきまで吹いていた地吹雪がすっかり止んで気温も上がってきた。
牧場には綺麗な雪紋が出来ていて、標高2000メートルの風の強さを改めて実感する。

 

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だいぶ歩いてきたところで後ろを振り返る、ここで大体半分くらいだろうか。

 

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先程のスノーシューツアーの団体は牧場をショートカットしているので、ぼくよりも早く王ヶ頭まで行けそうだ。
あちらのコースも楽しそうなので、次回はぼくも新雪を踏みながら歩こうか。

 

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午前中は雪上車が頻繁に通っていた。
この雪上車は先程のスノーシューツアーの団体が王ヶ頭から小屋に戻るのに使っていたり、また雪上車に乗るだけの体験ツアーもあるようだ。

まるで気分は南極観測隊のようではないか、これに乗ってみたくならない男子がいるのだろうか。

 

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ようやく王ヶ頭ホテルが目の前に近づいてきた。
巨大な放送用のアンテナが立てられていて景観を疑問視する意見もあるようだが、個人的には要塞に乗り込むRPGの主人公な気分になるので嫌いではない。

この坂を登ると正確に標高2000メートルを超えることになる。

 

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王ヶ頭ホテルはこの冬の時期も大人気で、たくさんの宿泊客が訪れていた。
素晴らしい温泉があるので一度は泊まってみたいと思うものの、この手のホテル・旅館はお一人様のプランが無いことがほとんどなので実際に泊まるのは難しい。

 

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ここからだと美ヶ原の全貌を見ることが出来る。
牧場の端に行くと断崖絶壁、2000メートル級の山の頂上にこんな広い平原があるのが不思議だ。

 

 

 

王ヶ頭ホテルのビーフシチュー
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王ヶ頭ホテルには日帰り専用の休憩スペースがあり、有り難いことにストーブまで点けてくれている。
食事メニューは11:00からだが、飲み物だけなら早い時間から提供してくれる。
まだ時間が早かったせいか人も少なく、温かいココアを飲みながらゆっくりすることが出来た。

 

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居心地が良かったので食事メニューの提供まで居座ってしまった、せっかくなのでビーフシチューのセットを頂くことに。
この極寒の場所でこんな美味そうなビーフシチューが食べられるなんて何という幸せだろう。

 

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お肉も野菜も柔らかく文句の無いビーフシチュー、体の芯から温まっていく感覚が心地よい。

 

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「ホテルで漬けたので良かったらどうぞ」と言われてサービスで頂いた漬物。
ほのかな酸味がちょうど良く、濃厚なビーフシチューの箸休めにもピッタリで美味しかった。

長野の漬物は家庭で漬けたものに限るという話をよく聞くが、なるほどお土産の漬物の様なわざとらしい青々しさもなく非常に美味だった。
毎回頂けるものでは無いと思うので、こんな美味しい漬物を食べれてとても幸運な一日になってしまった。

 

 

 

 

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腹も膨れたところで来た道を戻ることにした。
帰りはしばらく軽アイゼンを装着して歩いてみたが、完全に圧雪されているわけでも無いのでかえって歩き難かった。
結局、スノーシューが一番歩きやすかったので再び付けることにした。

 

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美ヶ原のシンボル、美しの塔まで戻ってきた。
ここは人気の場所なせいか、行きも帰りも誰かしら写真を撮っていたりしたので特に立ち寄らなかった。

星景写真の構図に塔を入れている写真をよく見るが、冬に星景写真は寒すぎるので夏にでも来て撮ってみようか。

 

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王ヶ頭ホテルからもずっと見えていたスノーカイト
平地でやるスノースポーツだけあって風次第なので難しそうだ。
しばらく眺めていたが、風待ちしてる時間が結構あってせっかちな自分には無理だろう。

 

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帰り道は雲と太陽の関係が良くて彩雲がよく見えていて楽しかった。
車に戻ってからも積んであった70-200mmでしばらく撮っていた。
しかし彩雲だけだと面白みに欠けてしまうので、何かしらフレームに絡めたかったのだが真上で難しかった。
自然の大スペクタクルを目の前にして物足りないとは贅沢な話だ。

この後は車で後片付けをして14時に帰路についた。
翌日は仕事だったがこの時間なら下道でも21時には帰宅できそうなので、また高速代を節約しつつのんびり帰ることにした。

 

 

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帰り道は 道の駅 信州蔦木宿 に寄って蕎麦を頂いた。
実は行きにも寄って蕎麦を食べたところ、あまりにも美味すぎたので帰りも寄ることにしていたのだ。
そしてこの道の駅には温泉もあるので当然行きも帰りも入ったが、なんとリンゴがたくさん湯船に浮かんでいて良い香りの湯だった・・・!

この道の駅は微妙な立地なせいかそれほど混雑しておらず、高速を使う旅だったら絶対に寄ることは出来なかっただろう。
これからも時間が許せば積極的に下道で出掛けてみたい。

 

 

 

 

というわけで「冬の美ヶ原トレッキング 青空を飾る彩雲と、王ヶ頭ホテルのビーフシチュー」でした。

今シーズンはどこも雪が少ないと聞いていたのですが、美ヶ原でも例年より少なめだったようです。
2月にはもう少し積もってくれると思うので、休みがあればもう一回は行って雲海チャレンジをしてみたいですね。

今後は奥日光とともに毎年のスノートレッキングコースとして通いたいと思います。